○岩泉町地消地産の推進に関する条例

令和4年3月15日

条例第4号

私たちの町岩泉は、本州一の広大な町として豊かな自然と気候に恵まれ、世界三大漁場である三陸沖に面し、古くから漁業が盛んに行われるとともに、近代においては畜産・酪農の地としてその名声を高め、現在は日本有数のまつたけの産地としても有名である。

しかしながら、人口減少、少子高齢化等により農林水産業の担い手不足及び耕作放棄地の増加が進み、東日本大震災及び平成28年台風第10号豪雨災害による甚大な被害がこれらの産業の衰退にますます拍車をかけている今、町を取り巻く環境は大きな転換期を迎えている。

また、輸入自由化や「食」の安全性及び信頼性を損なう事態が生じていることを背景に、町民の「食」に対する不安と関心が一層高まっている状況で、町内の「食」に関わる者が率先して農林水産物等を用いるとともに、教育、福祉、観光等あらゆる場に「食育」を推し進めていかなければならない。

ここに、食を通して町内で生活する消費者と生産者の架け橋となる「地消地産」の推進を図り、真に豊かな地域社会を創造することを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、地消地産の推進に関する基本理念を定め、町、生産者、生活者及び事業者の役割を明らかにするとともに、安全で安心な農林水産物等の安定供給及び食育連携を図ることにより、町の特色ある農林水産業の持続的な発展を促し、健康で豊かな町民生活の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地消地産 地域で消費する農林水産物等を当該地域で生産することをいう。

(2) 食育 食に関する知識及び食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てることをいう。

(3) 農林水産物等 町内で生産された農産物、林産物及び水産物並びにこれらを加工した食品をいう。

(4) 生産者 農林水産物等を生産する者をいう。

(5) 生活者 町内で生活し、農林水産物等の消費者となる者をいう。

(6) 事業者 町内で農林水産物等の製造、加工、流通若しくは販売又は飲食の提供を業として行う者をいう。

(基本理念)

第3条 地消地産の推進は、次に掲げる基本理念に基づいて行うものとする。

(1) 町、生産者、生活者及び事業者が連携し、町の農林水産業及び農林水産物等に関する情報を共有化することにより、互いの立場を理解して、信頼関係を構築し、協力するよう努めるものとする。

(2) 農林水産物等の生産から販売までの過程において、安全で安心な農林水産物等を生活者に安定供給できるよう努めるとともに、町の農林水産業の振興が図られるよう努めるものとする。

(3) 町の農林水産業に関する良好な景観、自然環境等の地域資源を活用することにより、農林水産業の活性化及び都市との共存が図られるよう努めるものとする。

(4) 生活者一人一人に食の重要性が理解されるとともに、健康で文化的な食生活の維持向上が図られるよう努めるものとする。

(町の役割)

第4条 町は、前条の基本理念に基づき、生産者、生活者及び事業者と連携し、地消地産の推進に関する施策を実施するものとする。

(生産者の役割)

第5条 生産者は、自らが生産する農林水産物等が生活者の健康を支えていることを自覚し、責任を持って農林水産物等の安全性の確保に取り組むものとする。

2 生産者は、自らが生産する農林水産物等の品質に関する情報を積極的に生活者に提供するよう努めるものとする。

3 生産者は、町が実施する地消地産の推進に関する施策に協力するものとする。

(生活者の役割)

第6条 生活者は、農林水産物等の安全性を確保するための生産者の取組を理解するとともに、農林水産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。

2 生活者は、町が実施する地消地産の推進に関する施策に協力するとともに、家庭及び地域において食育の推進に努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、生産者及び生活者と連携して地消地産の推進に取り組み、町が実施する地消地産の推進に関する施策に協力するものとする。

(地消地産の推進に関する啓発活動等)

第8条 町は、地消地産の推進に対する生活者の関心及び理解を深め、その推進に関する活動を行う生活者の意欲を増進するための啓発活動、情報の提供その他必要な施策を実施するものとする。

(生産者、生活者及び事業者の情報の共有等)

第9条 町は、生産者、生活者及び事業者が地消地産に関する情報の共有及び相互理解を進めていくための必要な施策を実施するものとする。

(町の施設における農林水産物等の優先使用)

第10条 町は、学校、こども園その他町の施設において給食その他食の提供及び相互理解を進めていくための必要な施策を実施するものとする。

(農林水産資源を活用した施策)

第11条 町は、農林水産業の振興及び活性化を図るため、地域の農林水産資源を活用して、生産者、生活者及び事業者間における相互の交流及び農林水産資源に対する理解を深めるための必要な施策を実施するものとする。

(食育との連携)

第12条 町は、地消地産の推進に当たっては、生活者が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことができるよう、家庭、学校、地域等における食育の推進に関する施策との連携を図り、効果的に実施するものとする。

(地消地産推進計画の策定)

第13条 町は、地消地産の推進に関する施策を計画的に推進するため、総合的かつ効果的な地消地産推進計画を策定するものとする。

(委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

岩泉町地消地産の推進に関する条例

令和4年3月15日 条例第4号

(令和4年3月15日施行)