岩泉町は北部北上帯の一角に位置し古生代後期~中生代中期に深海底に堆積し中生代ジュラ紀にユーラシア大陸に付加した堆積岩を基盤としています。この基盤岩が堅く侵食に強いことや北上山地が隆起を続けているために険しい地形をなし、岩泉町の面積の90%以上は森林で占められています。また、付加後のマグマの活動を経て安定した中生代白亜紀以降に浅海や湖に堆積した地層が海岸線付近や小本川沿いに分布しています。

 岩泉町の地質の特徴は、今からおよそ3億年頃前にあたる古生代石炭紀以降の全ての時代の岩石や地層が分布していることで、特に中生代ジュラ紀~白亜紀は岩泉の大地の大半がつくられ、安家石灰岩やモシリュウが見つかった宮古層群などの地層が堆積した時代として重要です。

 地質展示室は本館2階端にあり、展示室中央の床に貼られた地球の歴史テープで地球誕生からの時間の長さや岩泉の大地がつくられた時間を実感できます。

 そのまわりには解説パネル岩石、鉱物、化石の資料が、次のように岩泉町内の大地が形成された順に展示されています。

 1 地形・地質の概要

 2 深海で生まれた岩泉の大地

 3 中生代白亜紀の大変動

 4 モシリュウと宮古層群

 5 大島造山以降の侵食と堆積

 6 北上山地の隆起と安家カルスト

 7 龍泉洞と龍泉新洞

 また、入口近くのビデオでは岩泉の地質解説や龍泉洞調査の様子を学習することもできます。

 なお、展示資料は予告なく変わることがあります。詳しくは当館までお問い合わせください。

主な展示資料

 

 

 ストロー(鍾乳管)

 石灰岩中を通って天井からしみ出した水が蒸発し石灰分が結晶したもので、細長く伸びたものをストローといいます。

   つらら石

 細長くあるいは円錐状に天井から垂れ下がった鍾乳石をつらら石といいます。断面に年輪状の模様がみられることもあります。

   洞穴生物

 洞穴内はコウモリが外界から運び込む有機物などをもとに、菌類、トビムシ、ヨコエビなどの様々な生物が生息しています。

硬質粘土

 小川層群に挟まれるアルミニウムに富みよく固まった粘土で、軟質粘土と対比されます。製鉄所で高炉壁の耐火レンガに利用されました。

  珪化木/石炭

 小川層群最下部の小松層から産した植物化石で、植物の成分である炭素とまわりの粘土の成分中のケイ素とが置き換わって保存されました。

コハク

 小川層群は新生代古第三紀の湖の堆積物で、当時は亜熱帯の気候でした。粘土層の中には周囲の森林から運ばれた石炭やコハクが産します。

第四紀

新第三紀

古第三紀

中 

 

 

宮古層

白亜紀

三畳紀

テキサニテス

(アンモナイト)

 白亜紀後期の示準化石で、これらの化石から沢廻層が中生代白亜紀後期浅い海で堆積したことが確認されました。

エリフィラ

 丸い形をした二枚貝で、中生代後期から新生代までの浅い海でできた地層から多く見つかります。岩泉町では宮古層群や沢廻層に産します。

コハク

 コハクは松や杉などの樹脂(松ヤニ)が固まったもので、岩泉ではかつて薪に火を着ける際に使われたそうです。

モシリュウ(レプリカ)

 1978年8月に岩泉町茂師の崖から発見された日本列島初の恐竜化石で、体長20m以上と推定される草食恐竜の右前脚上腕骨の一部です。かつてはディプロドクスの仲間とされていましたが、近詳しい分類は不明とされています。

ネオヒボリテス

(ベレムナイト)

 アンモナイトとは近縁イカの仲間です。ネオヒボリテスは中生代白亜紀前期に絶滅してしまいました。

白亜紀花崗岩類

花崗岩

 今から1億2~3千万前に地下数kmマグマが固まってできた岩石で、全体的には白っぽいですが黒雲母を含み、「ゴマ石」とも呼ばれます。

大理石

 石灰岩がマグマの熱で変成を受け、方解石が大きく成長した白い岩石です。本来は白色ですが、不純物によって様々な色に変化します。

ホルンフェルス

 泥岩などがマグマの熱で変成を受けてできた黒雲母を多く含黒く固い岩石です。龍泉洞前の清水川には紅柱石の大きな結晶がられます。

クラドフレビス

 オーストラリアなどと共通する領石植物群の重要なシダ植物化石で中生代に栄えました。小本層の化石の大半を占めます。

オニキオプシス

 当時のアジア大陸と共通する手取層群から産するシダ植物です。小本植物群は主に領石植物群からなりますが、両者が混在しているとされます。

安山岩

 原地山層に特徴的な海底に噴出した安山岩質溶岩です。一部は海水と反応して緑色の緑簾石などの鉱物が生成しています。

古生代

ペルム紀

石炭紀

頁岩

 海岸から遠く深い海底に堆積した泥が固まってできた岩石です。岩泉町内には古生代後期から中生代ジュラ紀の頁岩が広く分布しています。

チャート

 海洋の表層から沈んだ放散虫や珪藻などの殻が深海底に堆積してできた固い岩石です。岩泉町内では頁岩と互層をなして分布しています。

安家石灰岩

 南北60kmと南北に細長く分布する石灰岩体で、中生代三畳紀に海山上のサンゴ礁から運ばれた石灰質砂が深海に堆積したとされています。

現  在

展示室案内

(本館2階)

段丘

・カルスト形成

小川層群

・清水川層

沢廻層

・横道層

小本層

・原地山層

ュラ紀付加体

ュラ紀