○岩泉町環境基本条例

平成14年6月26日

条例第19号

森と水のシンフォニー岩泉「酸素一番の町」の創造

私たちの町岩泉は、北上山地に連なる緑豊かな山々に囲まれ、この森から湧き出る清水は、小本川、安家川及び摂待川など清らかな流れとなり太平洋にそそぎ、私たちの生活に多くの潤いと活力をもたらしてきた。

この豊かな自然の恵みは、永い歴史のなかで先人のたゆみない努力によって守り受け継がれてきたものである。

私たちは、この環境の大きな恵みに支えられて健康で安全かつ快適な生活ができることを深く認識し、限りある自然との共生を図りながら、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な地域社会の創造に努めなければならない。

ここに、すべての者がそれぞれの役割を自覚し、岩泉の豊かな環境を守り育て、将来の世代に引き継いでいくことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、環境基本法(平成5年法律第91号。以下「法」という。)の精神にのっとり基本理念を定め、町、事業者及び町民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたり町民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生動植物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(4) 事業者 町内に事業所等を保有し事業活動を行う者をいう。

(5) 施策 町が取り組む環境の保全及び創造に係る事業の計画、実施をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、町民が健康で安全かつ快適な生活を営むことができる恵み豊かな環境を確保するとともに、これを将来の世代に引き継ぎ、人と自然とが健全に共生できることを目的として行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、資源の適正な管理及び循環的な利用の推進等により、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築することを目的として行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球全体の環境に深く関っていることを認識し、あらゆる事業活動及び日常生活において積極的に行われなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

2 町は、施策を実施するに当たっては、環境への配慮を優先し、環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造を積極的に推進するものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、次の各号に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。

(1) 事業活動に伴って生ずる公害の防止並びに廃棄物の減量及び再利用その他の廃棄物の適正処理を行うとともに、事業活動において資源及びエネルギーの有効利用並びに廃棄物の削減に資するような物の製造、販売等を推進することにより環境への負荷を低減すること。

(2) 事業活動に当たっては、地域の環境特性に応じた適正な土地利用を基本に置き、自然及び景観への配慮その他の環境の保全及び創造を自ら積極的に行うこと。

2 事業者は、町民が行う地域の環境保全及び創造活動に参加協力するよう努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

(町民の責務)

第6条 町民は、基本理念にのっとり、資源及びエネルギーの消費、廃棄物及び生活排水の排出等による環境への負荷を低減するように努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、町民は、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する施策

第1節 施策の基本方針等

(施策の基本方針)

第7条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、次に掲げる事項を基本として、事業者及び町民との協力の下に有機的な連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 町民の健康を保護し、及び生活環境を保全し、並びに自然環境を適正に保全するよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。

(2) 地域の環境特性に応じた適正な土地利用を基本に、森林、農地、水辺等における多様な自然環境の保全及び貴重な野生動植物の保護を図るとともに、緑化を推進することにより人と自然との共生を確保すること。

(3) 自然環境と一体となった美しい自然景観の保全、地域の歴史的、文化的な特性を生かした田園及び町並み景観の形成、水や緑に親しむことができる公共空間の形成等を図ることにより、潤いと安らぎのある良好な生活環境を創造すること。

(4) 廃棄物の減量、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用等を推進することにより、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築すること。

(5) 良好な環境の形成は、すべての者の公平な役割分担に基づく参加及び行動が不可欠であることから、一人ひとりが環境の保全及び創造に主体的に取り組むことができるよう環境に関する普及、啓発等を推進すること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため岩泉町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の方向

(3) 環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を策定するに当たっては、事業者及び町民の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるとともに、岩泉町環境審議会の意見を聴くものとする。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合性の確保)

第9条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るほか、環境への負荷が低減されるように十分に配慮するものとする。

(財政上の措置)

第10条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2節 環境の保全及び創造に関する基本的施策

(環境影響評価の推進)

第11条 町は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が環境影響評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(規制の措置)

第12条 町は、公害の原因となる行為その他の環境の保全上の支障となる行為を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(協定の締結)

第13条 町長は、環境の保全上の支障を防止するため必要があると認めたときは、事業者等と環境の保全に関する協定について協議し、その締結に努めるものとする。

(誘導的措置)

第14条 町は、事業者及び町民が自らの行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造のための適切な措置をとるように誘導するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全に関する施設等の整備の推進)

第15条 町は、下水道及び廃棄物の処理その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び業務を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、公園、緑地、河川、森林の整備その他の環境の保全及び創造に資する公共的事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(資源等の有効利用の推進)

第16条 町は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び町民による廃棄物の減量及び再利用、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用が促進されるよう必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(景観の形成等)

第17条 町は、個性豊かで魅力ある快適な環境を確保するため、美しい緑地及び農地の保全、歴史的文化的施設の保全及び活用、魅力ある町並みの創造その他の良好な景観の形成に関し、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境教育及び環境学習の推進等)

第18条 町は、事業者及び町民が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、これらの者が自発的に行う活動を促進するため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに広報活動の充実に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の自発的な活動の促進)

第19条 町は、事業者、町民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が地域において自発的に行う環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(事業者の環境管理の促進)

第20条 町は、事業者がその事業活動に伴い生ずる環境への負荷の低減を図るために総合的な環境管理の方針、体制等の整備を行うことについて、その推進に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(情報の提供)

第21条 町は、環境の保全及び創造に関する情報の収集に努めるとともに、環境の保全及び創造に資するため、必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(民間団体等の参加)

第22条 町は、施策の推進に当たっては、民間団体等の参加に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(調査の実施及び監視等の体制の整備)

第23条 町は、環境の状況の把握に関する調査その他の環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。

2 町は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第24条 町は、広域的な取り組みを必要とする環境の保全及び創造に関する施策については、国及び他の地方公共団体と協力して推進するように努めるものとする。

第3節 地球環境保全に関する施策

(地球環境保全の推進)

第25条 町は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に関する施策を推進するものとする。

2 町は、民間団体等の地球環境保全に関する行動を促進するため、普及、啓発等の措置を講ずるものとする。

(地球環境保全に関する国際協力)

第26条 町は、国、他の地方公共団体、民間団体等その他の関係機関と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制

(総合的な調整のための体制の整備)

第27条 町は、環境の保全及び創造に関する施策について総合的な調整を行い、計画的に推進するために必要な体制を整備するものとする。

(民間団体等との協力体制)

第28条 町は、環境の保全及び創造に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、民間団体等が協力することのできる体制の整備に努めるものとする。

第4章 環境審議会

(設置)

第29条 法第44条の規定に基づき、岩泉町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項)

第30条 審議会の所掌事務は、次に掲げるとおりとする。

(1) 町長の諮問に応じ、第8条第3項及び第5項に規定する環境基本計画に関する事項を調査審議すること。

(2) 町長の諮問に応じ、環境の保全及び創造に関する基本的な事項を調査審議すること。

2 審議会は、環境の保全及び創造に関する基本的事項に関し、町長に意見を述べることができる。

(組織)

第31条 審議会は、委員10人以内をもって組織し、委員は次に掲げる者のうちから町長が任命する。

(1) 知識経験者

(2) 関係行政機関の職員

2 委員の任期は、2年とする。ただし、欠員が生じた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第32条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選とする。

2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第33条 審議会は、町長が招集する。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、その説明又は意見を聴くことができる。

(庶務)

第34条 審議会の庶務は町民課において処理する。

(補則)

第35条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は町長が別に定める。

この条例は、平成14年7月1日から施行する。

岩泉町環境基本条例

平成14年6月26日 条例第19号

(平成14年7月1日施行)

体系情報
第8類 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成14年6月26日 条例第19号