○岩泉町議会基本条例
平成27年3月9日
条例第15号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 議会の活動原則(第4条・第5条)
第3章 議員の活動原則(第6条―第8条)
第4章 町民と議会との関係(第9条―第12条)
第5章 議会と町長等との関係(第13条―第15条)
第6章 議会運営(第16条・第17条)
第7章 議会と事務局の体制整備(第18条―第20条)
第8章 議員定数と議員報酬(第21条・第22条)
第9章 雑則(第23条・第24条)
附則
国から地方へ権限委譲が進み、地方自治体の自己決定・自己責任の範囲が拡大していることから、議会の果たす役割がますます重要となっている。
このような状況の中で、議会は、効率的で分かりやすい議会運営を行い、町民の意思を反映した「開かれた議会」を目指すとともに、その果たすべき責務を明らかにし、監視機能、調査機能、政策形成機能等をさらに強化し、様々な町民の意見及び要望を町政に反映させるため、自己改革に取り組まなければならない。
議会及び議員は、これまでの活動にとどまることなく、自己の資質向上を図りながら、更に議会改革を推進しなければならない。また、議会の構成員である議員の役割と身分上の位置づけの明確化を図りながら、町民福祉の向上と住みやすいまちづくりの実現に全力で応えていくことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制と分権時代を踏まえ、議会の基本理念及び活動原則並びに議員の活動原則を定めるとともに、自主的かつ自立的な議会運営を実現するための基本的な事項を定め、議会と町民及び議会と町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)との関係等を明らかにして、議会の使命を果たすことにより、町民福祉の向上と町政の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、町政における唯一の議決機関として、町民の意思を反映させるため、公平かつ公正に議論をつくし、地方自治の本旨の実現を目指すものとする。
2 議会は、その構成員となる議員及び町長の二元代表制のもと、町民の代表として、その信託に応えるものとする。
(最高規範)
第3条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃するときは、この条例に定める事項との整合性を図るよう努めるものとする。
第2章 議会の活動原則
(議会の責務)
第4条 議会は、次に掲げる事項に基づき活動するものとする。
(1) 透明性、公平性及び信頼性が高まるよう、開かれた議会を目指すこと。
(2) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるため、意見集約に努めること。
(3) 町長等及びその補助機関の事務について、常に監視及び評価機能を高め、検証を行うこと。
(4) 町民に身近な議会とするために、分かりやすく工夫した議会運営に努めるなど、町民とともに歩む議会を目指し、常に議会改革に取り組むこと。
(議決責任)
第5条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、町としての意思決定又は政策決定をしたきは、町民に対して説明する責任を有する。
第3章 議員の活動原則
(議員の責務)
第6条 議員は、次に掲げる事項に基づいて活動するものとする。
(1) 議会は、言論の場及び合議機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 町政の課題全般について、町民の意見の把握に努めるとともに、自己の資質を高める不断の研さんによって、町民全体の奉仕者及び代表者にふさわしい活動をすること。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(4) 議会活動について、町民に対して説明責任を果たすこと。
(危機管理)
第7条 議員は、町民の生命、財産及び生活に影響を及ぼす大規模な災害等の不測の事態が発生した場合は、町民及び地域の状況を的確に把握し、町を支援し、協力するものとする。
2 議会及び議員は、常に防災に関する意識を高めるため、毎年度、防災訓練等を実施するものとする。
(議員の政治倫理)
第8条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心及び責任感を持ってその責務を果たすとともに、品位を保持し、識見を養うよう努めるものとする。
第4章 町民と議会との関係
(町民との関係)
第9条 議会は、町民との協働による開かれた議会の実現に努めるとともに、説明責任を十分に果たすものとする。
2 議会は、請願、陳情等を町民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。
3 議会は、町民の意見を把握し、議会活動に反映させるため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
(情報の公開)
第10条 議会は、本会議並びに常任委員会、特別委員会、議会運営委員会(以下「委員会」という。)を原則として公開とする。
2 議会は、町民が傍聴しやすい環境の整備に努めるものとする。
(町民との意見交換会)
第11条 議会は、町民の意見を把握し、反映し得る合議体としての特色を最大限に生かし、町民参加推進のために、町民との意見交換会を少なくとも年1回開催しなければならない。
(専門的識見の活用)
第12条 議会は、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、学識経験者等による専門的事項に係る調査を活用し、議会の討議に反映させるものとする。
第5章 議会と町長等との関係
(町長等との関係)
第13条 議会は、町長等と常に緊張ある関係を保持し、町長等の事務の執行の監視及び評価を行うものとする。
2 本会議及び委員会における質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うため、一問一答方式で行うものとする。
3 議長から本会議及び委員会への出席要請された町長等は、議長又は委員長の許可を得て、反問し、及び反論できるものとする。
(政策等の形成過程の説明)
第14条 議会は、町長が提案する重要な政策、計画、施策、事業等について、次に掲げる事項の説明を求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景(これまで取り組んできた対策と限界を含む。)
(2) 提案に至るまでの経緯及び関係法令等
(3) 町民参加の実施の有無及びその内容
(4) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(5) 岩泉町議会の議決すべき事件を定める条例(昭和33年岩泉町条例第25号)第1号の基本構想における根拠及び位置付け
(6) 政策等の実施に係る財源措置
(7) 将来にわたる政策等の効果及び費用
(8) 前各号に掲げる事項のほか、議長が必要と認める事項
2 議会は、重要な政策等の提案を受けたときは、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における重要な政策等の評価に資する審議に努めるものとする。
(政策立案等)
第15条 議会は、条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、町長等に対し、積極的に政策立案及び政策提言を行うものとする。
第6章 議会運営
(自由討議)
第16条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議案等の審議又は審査においては、議員相互の自由な討議により議論を尽くし、合意形成を図らなければならない。
2 議会は、委員会において、議案の審査に当たり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて自由討議が積極的に行われるよう委員会を運営しなければならない。
(委員会活動)
第17条 常任委員会及び特別委員会は、議案等の審査を行うに当たり、町民に分かりやすい審査を行うよう努めるものとする。
2 常任委員会及び特別委員会は、その所管に属する事務について、調査研究、政策立案及び政策提案を積極的に行うものとする。
第7章 議会と事務局の体制整備
(議員研修)
第18条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の更なる向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員全員で構成する岩泉町政務調査会を中心に各種研修等の開催に努めるものとする。
3 議員は、出張を命ぜられ、当該用務を終えて帰庁したときは、速やかに議長に報告書を提出するものとする。
(議会事務局の充実)
第19条 議会は、議会及び議員の政策立案機能を補助するため、議会事務局の調査機能及び法制機能の強化に努めるものとする。
(議会図書室の充実)
第20条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書、資料等の充実に努めるものとする。
第8章 議員定数と議員報酬
(議員定数)
第21条 議員の定数(以下「議員定数」という。)は、岩泉町議会の議員の定数を定める条例(平成14年岩泉町条例第34号)において定める。
2 議員定数は、議会及びその構成員となる議員が、町長等とともに町づくりを担う重要な責任を有していることを踏まえ、行財政改革の視点からだけではなく、町づくりを成す現状と課題、将来の計画と予測、展望を十分に考慮して、判断しなければならない。
3 議員定数の基準は、人口規模や面積などの地理的要件、財政力、町政課題、類似団体の議員定数と比較検討し、決定しなければならない。
4 議員定数の改正に当たっては、参考人制度や公聴会制度の活用及び町民の意見を聴取するなどしてあるべき定数を判断しなければならない。
(議員報酬)
第22条 議員の報酬(以下「議員報酬」という。)は、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例(昭和36年岩泉町条例第7号)において定める。
2 議員報酬は、町民の負託に応える公選職であることを自覚し、職責に適した報酬を基本としなければならない。
3 議員報酬は、議会及び議員活動の評価を基に、町の情勢、類似団体との比較及び財政状況を考慮するとともに、特別職報酬等審議会条例(昭和46年岩泉町条例第2号)に定める審議会の意見を参考にするなどして、あるべき報酬を判断しなければならない。
第9章 雑則
(検証及び見直し)
第23条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかについて、常に検証し、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この条例は、平成27年4月1日から施行する。
附則(令和3年3月12日条例第9号)
この条例は、公布の日から施行する。