岩泉町の茂師竜(モシリュウ) ~わが国で初めて発見された白亜紀の巨大恐竜~
昭和53年夏、岩泉町小本字茂師における宮古層群の化石を研究するために訪れていた花井哲郎(東京大学教授)、加藤友喜(国立科学博物館研究員)の両氏は、宮古層群の礫岩中に露出する脊椎動物化石を発見しました。
横浜国立大学の長谷川善和教授の研究によって、化石は恐竜の上腕骨であることがわかり、さらに中国四川省で発見されているマメンキサウルス(全長22メートル)にきわめて類似することが判明しました。
これにより、わが国にも巨大恐竜がいた証拠が示されました。
この恐竜は発見地にちなみ、長谷川善和教授によって「茂師竜」と命名されました。
茂師竜は、マメンキサウルス・ブロントサウルス、ディプロドクス、ブラキオサウルスなどとともに竜脚類に属し、陸上を四足歩行する大型草食恐竜です。
竜脚類は地球史上最大の陸生脊椎動物といわれています。
茂師竜が発見された宮古層群は、約1億年前の暖海に生息していたアンモナイト・三角貝・六射サンゴなど多くの海生動物化石を産することから、白亜期前期の日本を代表する地層として知られています。
海生動物化石が多産するなかで、恐竜が発見されたことは極めて異例のことで、一般に恐竜は大陸の砂漠地帯から発見されることが多いです。
茂師竜の骨格は、当時の陸地から海へ運ばれ堆積したものと考えられます。
写真は茂師竜の化石が発見された現場